都筑区、青葉区はなぜ人口減少? 横浜市の今年8月までの人口動態

2017年も3分の2が過ぎました。

横浜市統計ポータルサイト横浜市の8月までの人口動態を確認してみました。


人口増加数=社会増加数+自然増加数
社会増加数=転入数-転出数
自然増加数=出生数-死亡数


f:id:yokohaaman:20170910081441j:plain


市全体で自然増加数がマイナス3001人と昨年の年間マイナス2084人を早くも下回っています。

横浜市でも少子高齢化が確実に進展していることがわかります。

自然増加数のマイナス幅が大きくなった分、人口増加数も増加幅が小さくなっている印象です。

横浜市の人口は今年がピークで来年から人口減少となってもおかしくないでしょうね。


f:id:yokohaaman:20170910081510j:plainf:id:yokohaaman:20170910081530j:plain


区別に見ると、青葉区都筑区の人口増加数のマイナスが目を引きます。

もし、今年このままマイナスで終わると、青葉区都筑区は区ができて以来初めての人口減少ということになりますね。

自然増加数は両区ともプラスですが(現時点で横浜市で自然増加数がプラスなのは鶴見区港北区青葉区都筑区のみ)、今年は社会増加数のマイナスが大きくなっており、そのため人口減少となっています。

今のところ、青葉区の社会増加数は平成20年のマイナス702人以来の大きな減少です。

都筑区の社会増加数は例の傾斜マンションの建て替えの影響がまだありそうなので実態はよくわかりませんね。

ただ、平成24年以前のように大きく増えているような状況ではないと思います。



さて、青葉区の社会増加数ですが、今年はなぜ大きく減っているのか?

青葉区の社会増加数は平成13年に4831人でピークとなり、平成18年に急減、平成19年にはマイナスとなりました。それ以降はマイナスとプラスを繰り返してきました。


以前の記事から
f:id:yokohaaman:20170719063100j:plain


平成13年の人口流入のピークから今年で16年が経ちますが、当時、小さい子供を連れて青葉区へ転入してきた家庭では、子供が大学生や社会人となって独立し、家を離れる頃です。

小学校入学に合わせて転入していると、今年ちょうど大卒で社会人となりますね。

子供の独立のピークが来ている、それが1つあるのかなあと想像できます。

また、アベノミクス以降の不動産価格の上昇が極まり、青葉区に賃貸で住んでいた人が家を買おうとしても区内では買えず、やむなく他所で買うということも起きているかもしれません。

もう何年も社会増加数の減少が続いていた金沢区栄区港南区ですが、今年はここまでのところ持ち直しているように見えます。青葉区に比べれば不動産価格はまだお手頃と言えますが、今は比較的手に入れやすい価格のエリアに人が流れていることもありそうです。

また、いわゆる都心回帰という世の中の大きな流れも続いているのでしょう。

社会背景として共稼ぎが増えたこと、1世帯あたりの子供の数が減ったこと、そもそも結婚する人が減ったことなどによって、通勤時間を犠牲にしてまで都心から離れた郊外の庭付きの広い一戸建てに住もうという人が減り、職場のある都心に近いほうへと人口が向かうということですね。

それに合わせて、この10年15年、東京都心へのアクセスが良い多摩川鶴見川下流エリア、京浜エリアでは工場撤退跡地などでマンションなどが多く供給されてきました。鶴見区神奈川区港北区は今年もここまでのところ社会増加数が多いです。西区の社会増加数が現時点で1000人を超えていますが、これは今年前半にみなとみらいでタワーマンションが2つ供給されている影響でしょう。

鶴見駅横浜駅から品川駅へは20分、東京駅へは30分ですが、横浜市の中では東京都心への通勤時間が最も短いエリアです。

また、近年はみなとみらいへの企業の進出が増えていますが、横浜、みなとみらい、関内にかけては横浜市のビジネスの中心部であり、この周辺で人口が増えるのは横浜都心への回帰という一面もありそうです。

一方郊外に目を向けると、海老名市や藤沢市などではこの5年で人口が2%増加しています。海老名市も藤沢市も小児医療費助成が充実していたり、中学校に給食があったりと子育て支援に定評のある自治体です。

もう少し視野を広げると、やはり都心へのベッドタウンであるさいたま市のほうなども所得制限なしで中学3年生まで医療費無料、中学給食ありだそうです。さいたま市もこの5年で見ると横浜市よりも人口増加率が高く3%を超えています。

昨今は若い人が住む場所を決めるとき子育て支援を重視するようになっているのを感じますが、その点では横浜市は遅れをとっていると言われることが多いように思います。

横浜の南部や西部で人口動態の弱さが続いてきたのは、都心通勤にも遠く、子育て支援にも特に強みがない、その結果なのかもしれませんね。

北部に位置する青葉区は都心までの距離は横浜市の中では近いほうですが、朝のラッシュ時は過密ダイヤの影響や、急行をやめて準急で運行しているため、都心までの所要時間が長くなります。

昼間は青葉台から渋谷まで25分ですが、朝は38分。

混雑緩和のため朝ラッシュ時の急行を準急に変更したのは10年前の平成19年からだったそうですが、青葉区の社会増加数を見ると、その前年の平成18年からガクッと落ち、平成19年20年はマイナスです。平成20年は都筑区グリーンラインが開業していますが、グリーンラインの影響と合わせて、朝の準急変更の影響も大きかったのではないかと想像します。それ以来、社会増加数は大幅に増加することはなく、小幅にプラスとマイナスを繰り返してきています。

しかしその甲斐あってか、田園都市線の混雑率は10年前の日本屈指だった頃に比べるといくらか改善されてきたようです。いずれは急行復活も期待されるところなのでしょうが、2016年の混雑率は184%と東京近郊の路線の中でいまだ上位にあるので、今また急行を復活させると激しい混雑も合わせて復活してしまうのでしょうね。

そもそも急行を運用できなくなった時点で田園都市線沿線は適正な沿線人口というものを超えてしまっているという見方もできるのかもしれません。

しかしながら沿線では大規模マンションの供給が続きます。

昨年はすずかけ台でザ ブルームテラスが373戸、昨年今年完成のプラウドシティ宮崎台が429戸、来年以降ドレッセ中央林間857戸、シティテラス長津田362戸、ドレッセWISEたまプラーザ278戸が予定され、南町田の再開発でもマンションができるのでしょうか。まだまだ沿線人口は増えそうです。青葉区の視点で考えると、沿線の上流で人口が増えるというのは電車の混雑を考えると特に有り難くないことでしょうね。

中央林間や長津田は始発駅ですが、通勤地獄と言われるラッシュアワーの電車の中で座って通勤できるというのはこの沿線において強力なアドバンテージとなっていそうです。たまプラーザから渋谷まで朝は30~35分ですが、長津田からだと40~45分。10分長くかかっても座って通勤できるなら長津田に住もうかな・・・と考える人は結構いるのではないでしょうか。田奈、青葉台~あざみ野との比較になるとなおさらそうなりやすいかもしれません。長津田緑区ですが、横浜線も通っており新横浜や横浜方面へ出やすいというのも魅力になっていますね。

また、プラウドシティ宮崎台は429戸と結構な規模ですが、宮前区は青葉区と環境や雰囲気が似ているので、大きな物件が出ると青葉区の需要を食われてしまう部分がありそうです。昨年今年で完成したようですが、今年の青葉区の転出入にも多少影響しているのかもしれません。

青葉区ではもう何年も大規模物件が出ていないように思いますが、今年もないですね。300戸の大規模マンションが1つできるだけで1000人くらいの人が移り住むわけですから、社会増加数に与える影響は大きいです。青葉区で大規模マンションが出ず、周辺で出ている状況というのも、昨今の青葉区の社会増加数を弱めている要因なのでしょう。

ただ来年はドレッセWISEたまプラーザ278戸がありますし、それ以降もたまプラーザやあざみ野ではある程度の規模のマンションが出てきそうな話も聞くので、今後一方的に社会増加数のマイナスが膨らみ続けるということはなさそうな気がします。また、将来的には、たまプラーザ団地の建て替えなどもあるのでしょうか。これが実現したときには青葉区の人口は大きく増加することになりそうです。横浜市の推計では青葉区人口は平成37年にピークとありますが、たまプラーザ団地をはじめとした古い団地の建て替えを見込んでのことなのでしょうかね。


とりとめのない話になってきましたが、まとめると・・・


青葉区の人口減少の理由は、都心回帰の流れ、郊外の中で競争力を維持しづらい状態(不動産価格が高い、通勤の負担が軽くない、子育て支援が弱い)が続くなかで、子供が独立して家を出るピークを迎え、また近隣で大規模マンションが供給されるなか、青葉区では大規模マンションの供給がなかったことなどから転出が転入を上回って社会増加数がマイナスとなり、少子高齢化の進展で年々減少している自然増加数のプラスではカバーしきれずに人口減少・・・ということかなと想像します。


人口減少というのはあくまで今年8月までの話ですね。まだ残り4か月ありますから、最終的に今年も人口増加に転じている可能性もあります。

青葉区は人口が30万人と横浜市でも2番目に多いですね。

仮に今年人口が1000人減ったとしても割合としては0.3%に過ぎず、また、来年以降、大規模マンションが続けてできれば人口増加に転じていきそうな気もしますが、あえて人口対策を挙げるなら



・朝ラッシュ時の田園都市線の混雑緩和、急行の復活、通勤特急の導入

子育て支援として小児医療費助成の所得制限を撤廃し、対象も中学3年生まで引き上げる

・中学校給食の実施

青葉区の中心部にららぽーとのような大型商業施設を誘致する

容積率、高さ制限を緩和して駅近に住める人の数を増やす



難しいことだらけですが、実際のところ今の若い人が求めているのはこういうことだと思います。